転勤先の福岡で趣味を通して出会ったパートナーと結婚。
出産を機に佐伯市へ移住し、フルリモート勤務へ。

大西 衿沙(おおにし・えりさ)さん(写真右)。パートナーの小栗栖龍法さん(写真左)にもお話を伺いました。

これまでのキャリアを教えてください。

千葉で生まれ、父の仕事で茨城に引っ越してからは、大学までずっと茨城にいました。研究者になるつもりで、応用物理を専攻していましたが、だんだんと実験などに対するモチベーションが低くなってしまい、人と関わることがしたいという思いが強くなりました。大学院には進まず、大学を卒業後入社したのはコールセンターの会社でした。カスタマーからの意見を汲み取り、分析して企業に提案するという仕事です。
趣味である演劇を地元で続けたいと思っていたものの、入社2か月で福岡に転勤になり、中学から所属していた劇団を離れるのがとても嫌だったのですが、それが福岡の劇団や今のパートナーとの出会いに繋がりました。会社で働きながら、オフは劇団の活動をしていましたが、2年半くらい経った時に演劇のワークショップに参加する為、会社を辞めてカナダに1か月程留学しました。福岡に戻り、保育士や保育心理士の資格を取り、障がい児保育について学んだ頃に今の会社の求人を見つけました。

お仕事について教えてください。

私の働く「ふくしごと」は、社員数は4人、取締役が5人という小さなベンチャー企業で、まちづくりの会社やアート系の福祉施設、デザイン会社などの代表たち5人が自分たちの特技を活かし、障がいがある人たちと社会との心地よい循環を作ろうと立ち上げた会社です。障がい者、就労事業所、企業、地域それぞれの立場や現状を把握して、「一緒に働く」ための仕組みをつくったり、提案したり、改善のアドバイスをしたりしています。具体的には「障がいのある人が働く就労事業所」のサポートと「障がいのある人が働く企業」へのサポートの2軸あり、「障がい者就労」が抱える社会課題を解決できる持続的な仕組みを作っていくのが私達の仕事です。
私は企画営業なのですが、商材があってモノを売る営業ではなく、課題に対してどのような手があるのか企画を考えて企業に提案します。答えが無い中で試行錯誤していくことが難しくもあり、面白くやりがいのある仕事です。
本当に小さい会社なので、産休、育休の制度やリモートワークの取り組みもありませんでしたが、私が出産するタイミングで、新たに制度を設けていただきました。育休後は完全リモートで復帰する予定です。

仕事では取締役と動くことも多いようで、刺激を受けながら働くことができる環境だと語っておられた大西さん。

佐伯に移住したきっかけは何ですか?

福岡の劇団で出会いパートナーとなった彼が、佐伯に住んでいたことがきっかけです。結婚後も私は福岡、彼は佐伯で仕事をしていて、お互いの家を行き来していたのですが、妊娠を機に佐伯に移住することを決めました。初めて佐伯に来たのは2018年。「第33回国民文化祭おおいた2018」にて佐伯市で障がい者と演劇をすることになり、福岡から月2回、半年程度通っていました。福岡の仕事を続けたかったので、結婚後も別居を選択し、佐伯に移住することは考えていませんでしたが、コロナ禍で出勤もできない状況だったときに、試しに佐伯からのリモートワークで1週間ほど仕事をしてみたことがあり、それが、今の働き方のきっかけになりました。

地元の劇団の公演にて。演劇を軸とした様々な出会いが、現在の仕事や佐伯で家庭を築くことに繋がったそうです。

移住に不安はありましたか?

知り合いや友達もいない土地で暮らすというのは考えにくかったですが、演劇の繋がりで佐伯には何度も来ていたので、すんなりと移住する決心ができました。演劇以外のコミュニティで友達もできていたので、特に不安はありませんでした。移住してからは、イベントごとに積極的に顔を出し、様々な人に声をかけてもらいました。大分県の移住支援金制度も利用しました。移住される方には制度の利用をおすすめします。

ご自宅には素敵なホールも併設。イベントや演劇なども行われるそうです。

佐伯の自慢ポイントを教えてください。

地域おこしの活動が活発なところです。「ないものは作ればいい」と、今この街に何が必要かを話し合い、それを一つずつ実現していこうとしているところにすごく未来への希望を感じました。新しいことを提案しても、面白がってくれる土壌があるところがとても魅力的で、そこも移住する決め手になったポイントです。
また、生活に必要なものは揃っていると思います。助産院や大きい病院もありますし、「さいき城山桜ホール」という文化的拠点もできたので、必要なものがちゃんとあるという安心感があります。スイーツがとても美味しいカフェもあります。

移住を考えている方にメッセージをお願いします。

佐伯にもっと仲間を増やしたいので、是非一度遊びにきてみてください。「こんなことをしてみたい!」という声をあげれば、「いいね!」と面白がって協力してくれる土壌があり、みんな温かく迎えてくれます。